留学を志す学生に勧めたい『現役官僚の滞英日記』

今回は、現在留学中、もしくは留学を考えている学生さんに向けて、一冊の本を紹介します。

今月発売されたばかりの、PLANETS発行、橘広樹さん著『現役官僚の滞英日記』という本です。

タイトルの通り、現役の霞が関の官僚の方が、イギリスの名門校LSEとオックスフォードでの2年の留学の経験を、一冊の本にまとめたものです。

本を読んでみれば分かりますが、著者はかなり知性とウィットに富む方で、文章の構成の読みやすさや、教養の深さは、学生だけでなく僕自身、学ぶべきところの多い本でした。

今現在留学をしている人も、これから留学をしたいという人も、留学を通して何らかの成果を得ようと考えていると思います。

目的が語学であれば、聞いたり話したりできるようになったら、それで充分と考えている人もいると思うのですが、せっかく留学をするのであれば、日本では得られない経験を得られるチャンスですから、より貪欲に成果を求めていいと思います。

この本では、著者の教養ある観察眼と、高い行動力から得られた興味深い考察や、日本社会への提言が語られています。

今までの日本での体験や教養があるからこそ、深い考察、日本への提言ができるのですから、一般的な学生にとっては、ハードルが高いのかもしれません。

しかし、同じ体験をしたとしても、考える、考えないでは大きな違いが生まれるんだなというのをこの本を読んで知ってもらえたらと思います。

なぜ留学をするのか、という目的意識

留学には目的意識が必要だ、というのはよく言われることだと思います。

自分の知りたいこと、やりたいことがあってこの大学に行くのだ、という目的意識があった方が、実りのある留学生活を得られるからです。

この本の著者も、留学に行く目的、大学を選んだ理由を明確にしています。

目的が始めにあるから、その目的の達成のための日々を過ごそうというモチベーションにもつながるのです。

この本を読めば、自分なりにどんな問いを立てようか、その問いにどう答えを探そうか、という道筋が見えてくると思います。

ただ、留学の目的を設定するには、自分の立ち位置が必要です。

この本の著者の場合、現役の官僚という立ち位置があるので、それに利する目的を立てよう、ということになるのですが、学生の場合、そもそもどんな目的意識を持てば、有効な成果を得られるのか分からないのではないかと思います。

その場合は、自分の興味や関心を深める、というのでもいいと僕は思います。

学生なら、目的の設定は走りながら考えればいいです。

小さな子供に、生きる目的を聞いても、答えは帰ってきません。

まだ何も知らないし、体験していないからです。

留学した先で、がむしゃらに学び、がむしゃらに行動し、体験する事でも、得られるものは大きいです。

言語化すること

海外の地で生活していれば、自分の初めて経験するようなことがたくさん起こります。

その時、何気なく生活していれば、それは新しい驚きで終わってしまいます。

新しい驚きは新鮮で、面白いけれど、ただの驚きで終わってしまうのは、ちょっともったいない。

僕は、それを言葉にすることをおすすめします。

生活の中で、どんなことに気がついたのかを、日記でいいので書いてみることをおすすめします。

そして、できれば発表した方がいい。

発表するのはちょっとハードルが高い試みなので、より慎重に言葉を選んだり、考えに浅いところがないかとか、自分の考えを見直すきっかけにもなろうかと思います。

なにより、誰かに自分の経験を発信するのは、とても楽しいことです。

書くってけっこう大変なことで、書こう、と思ってないと、あんまり考えずに日々を過ごしてしまう。

書くためには、生活のひとつに着目して、それをあっちからみたりこっちから見たりしなくちゃいけない。

そういう経験って、けっこう役に立つ気がします。

見たことをどう昇華するか

この本の著者のすごいのは、留学を通して見たことを、理論と呼べるところまで整理しているところです。

なかなか見聞をそこまで高められる人はいないと思うのですが、この本を読んだ人なら、自分の目的意識を他の人より一つ高く設定することが出来ると思います。

さっきも書きましたが、書くのってけっこうたいへんです。

普通の人は、普段、観察をあんまりしていないからです。

『1円玉の裏の絵を、見ないで描いてみて?』と言われて、描ける人はどれくらいいるでしょうか。

観察していないと、実は僕たちは何も見てないし、考えていない。

いざ、書こうと思った時、「書くことがない!」と絶望したりすることもあるかもしれません。

書けない、書けないと思っていても、よくよく観察して情報を集めていると、自分なりに方向性が見えてきたりするものです。

誰かが言ったようなことを言ったり、誰かが言ったことを批判するのは簡単です。

ぜひ、自分で生み出す側に回って欲しい。

「カネ・コネ・チエ」を意識せよ

本のなかで、「カネ・コネ・チエ」というキーワードが出てきます。

詳細は本を読んで頂きたいのですが、これらはイギリスのエリート層の姿を表した言葉です。

この、「カネ・コネ・チエ」の考え方は、留学中の生活において、かなり参考になると思います。

ともすると、バランスを欠いて、勉学ばかりに集中したりしがちだと思うのですが、外に出て人と会う、ということをもっとしたほうがいいと思います。

留学先のつながりというのは、なんだか不思議な力が働くようで、強いつながりになります。

学生なら、ぜひ社会人と交流してみるといいと思います。

就活のためじゃなくて、世の中いろんな人がいて、面白いから。

装丁が美しい

今まで書店や図書館でたくさんの本を手に取ってきました。

本をあまり読まない人からすると、本を読んでいるだけで偉いような気がしてしまいますが、本には実はかなり良し悪しのばらつきがあります。

ブームに乗っかってお金儲けのために作られたような本もたくさんあるのです。

誤字や脱字、文字の大きさや行間、文章の構成、図や写真の配置、どんな紙を使うか、どんな作りにするか等、手に取ってみれば作り手の気概が見えてくるものです。

この本は、かなりこだわって作られたのではないかと思います。

本の中身の良さは、装丁にも現れるのです。

おわりに

真面目な方面から書いてきましたが、読んでいてとても楽しい本です。

著者が誠実に社会と向き合っている姿が目に浮かぶようでした。

(果たして、僕は社会のために生きているか…。自分のためばかりに生きてないか…?)

留学を考えている学生にとっては読む価値は高いので、ぜひ読んでみて欲しいです。

『現役官僚の滞英日記』、お値段は学生にとってはちょっと高めかもしれません。

書店で手に取ってみて下さい。すぐにいい本だって分かりますから。

そして読みたくなったら、ぜひ大学図書館にリクエストをしてみてください!

留学という体験をした学生が増えて、日本がもっと生きやすい社会になったらうれしいなあ。

それでは!

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ABOUTこの記事をかいた人

上海を中心に、中国関連の気になる出来事を発信しています。時々関係ないことも書きます。学生時代に上海留学。現在は日本で会社員生活。いつか中国で書きたい。91年生まれ。