中国のキャッシュレス化がすごい。上海で度肝を抜かれた

先日、中国の上海を訪れる機会がありました。

上海を半年に一度くらいのペースで訪れていると、毎回社会の変化の速さに驚かされます。

前回上海を訪れた際には、シェアサイクルの爆発的な普及に驚きました。

そして、今回驚かされたのは、上海ではキャッシュレス社会がほぼ完成に近づいていた、ということ。

日本に住んでいると遅々として進まないキャッシュレス社会への移行が当たり前のように感じられますが、上海では驚くべき速さでキャッシュレス社会は進んでいたのです。

今回は、私が見た上海のキャッシュレス社会のレポートと、なぜ上海でこれほどキャッシュレス社会が浸透したのか、日本ではなぜ進まないのかについて考察をしていきます。

 

上海のキャッシュレスは、スマホが中心

上海に暮らす人々は、今やほとんど現金を使いません。

ネット上での買い物はもちろん、コンビニやスーパー、デパートの支払い、タクシー代にも、現金の出番はなくなってしまいました。

それでは何を使って決済を行うのかといえば、スマートフォンのアプリ。

驚くべきことは、日本では高齢者はスマホを使いこなせないのが当たり前のような風潮がある一方で、上海では、おじいちゃんおばあちゃんの世代の人でさえも、スマホを用いて決済を行っているという点です。

上海のキャッシュレス社会は、スマホの普及率に支えられているのです。

中国のスマホ決済において、重要な役割を果たしているのが、支付宝(ジーフーバオ)(Alipay)と微信支付(ウェイシンジーフー)という二つのアプリ。

 

支付宝(ジーフーバオ)(Alipay)

支付宝はジャック・マー率いるアリババ集団が提供するアプリ。

アリババのネットスーパーであるタオバオを中心に、オンライン決済の約52%を占める巨大な基盤を持っている。

また、モバイル決済では80%のシェアを持つ。

 

微信支付(ウェイシンジーフー)

微信支付は、中国人の間で最も利用されているSNSである微信(Wechat)を運営するTencentが作ったアプリ。

SNSのアプリの中にお財布が入っているイメージ。

日本で言えば、LINEがLINE Payというサービスを提供しているが、それに近い。

いずれにしても、お財布を取り出す必要がなく、スマホひとつで決済が終了する。

 

 

どんな場所でも、決済できる

 

キャッシュレス決済において先行する支付宝(ジーフーバオ)(Alipay)というアプリは、ほとんどのお店で使うことが出来る。

コンビニ各社はもちろん、個人商店でさえも、支付宝さえあればたいていの決済はできる。

日本の場合、あのコンビニではこのサービス、こちらのコンビニではこのサービスというように、消費者の側が工夫をしなければならないが、上海ではその手間が必要ない。

想像してみてほしい。

タクシーに乗るにも、デパートで服を買うためにも、カフェに入るにも、映画館で映画をみるにも、自動販売機でも、それらすべてをひとつのアプリで済ませることが出来る社会を。

 

日本の現状

日本でなかなかキャッシュレスが進まないのは残念なことだ。

日本のキャッシュレス化への道のりにはいくつかの問題点がある。

日本のキャッシュレス化への道を開いたのは、交通系カードの「Suica」と、NTTドコモの「iD決済」といった、非接触系のシステムであろう。

毎日乗る電車の改札機で使える「Suica」は人々にも浸透しやすかった。

駅の自販機で「Suica」を使うようになるのも、自然な流れであったように思う。

もう一方のSonyが開発しNTTドコモが採用した「iD決済」は、世界初の試みではあったが、世界での浸透には失敗してしまった。

こうして、日本では独自の非接触タイプの決済基盤が広がって来たわけだ。

しかし、日本のキャッシュレスが進まなかった原因は、まさにこの、非接触タイプが普及したことにある。

SuicaやId決済といった非接触タイプの決済には、必ずその読み取り機が必要である。

お店の側でも導入にはコストがかかり、さらに消費者の側でも、「ID決済」に対応したケータイ、スマートフォンを用意する必要があった。

日本のキャッシュレス化は、店側と消費者側、それぞれの端末のシェアの壁に阻まれてしまった。

そしてもうひとつ、日本のキャッシュレス化への道のりの壁は「不自由さ」である。

日本ではキャッシュレス化よりも先に、ポイントカードの普及が先行した。

コンビニによって、違うポイントカードを使い分けることで、日本人の財布はカードでどんどん膨らんでいった。

それらのポイントは、提携する企業間でしか使うことができない。

ポイントを貯めるためには、その企業の発行するクレジットカードを使う必要がある。

こうして、日本のキャッシュレス化は企業グループの影響で分断され、ひとつにまとまることがなかった。

 

クレジットカードという病い

 

よく、現金の代わりにクレジットカードを使うように奨励する方もいるようだけれど、僕には、クレジットカードはキャッシュレス社会において充分ではないように思われる。

なぜなら、クレジットカードはその名の通り信用が必要であり、その時点で未成年の子供や、信用力の低いとみなされた成人を取りこぼしてしまうからだ。

また、消費者の側からしても、クレジットカードはどんな店でも気軽に使えるものではない。

大手のコンビニや、飲食店、タクシーなどであれば、クレジットカードを使う気にもなるだろうが、店員が引き落とし金額を手入力していたり、いちいち暗証番号やサインを求められたりしそうなお店で、現金よりも使いたいと思えるだろうか。

 

現金を使い続けることは、経済成長の重しになる

 

私たちは現金での支払いにあまりに慣れすぎてしまって、実は多くを失っていることに気がついていない。

昔コンビニでバイトしていた友人が話していたところによると、コンビニでは毎日何百円という単位の誤算が発生するらしい。

オンラインで決済が済んでしまえば、誤算は絶対に発生しない。

何より重要なのは、誤算が発生しているかどうか、現金を数える必要がない。

私達の社会は、現金で経済を回すために、多くの労力を必要としている。

そして現金には誤算や、劣化、紛失、盗難といった、多くのデメリットがつきまとってしまう。

もし、スーパーのレジに現金が1円も入っていなかったら、強盗が襲って来るリスクも大幅に下がる。

それならば、セキュリティのためのコストを下げることが出来るだろう。

夜中でも、無人のコンビニを作ることが可能になってくるのだ。

 

もう一つ、中国の決済アプリの大きな特徴は、個人間送金

支付宝と微信支付の大きな特徴のひとつに、個人間送金が可能なことが挙げられる。

これは、日本ではまだまだ入り口にも立っていないサービスであるが、上海では、友達同士ご飯を食べた後、1人がお店に支払い、その場でスマホにQRコードを表示し、読み取ることで現金決済を終了させる。

このサービスには、大きな発展性がある。

この送金に必要なのは、ただ二つのスマートフォンだけなのだ。

レジのPOSシステムも要らないのだから、決済基盤としての導入費用は限りなく小さい。

上海には、現金の入れ口がない自動販売機がある。

どうやって決済するかというと、自動販売機の全面は大きな画面になっており、そこには飲み物の画像が。

タッチすると、そこにQRコードが表示され、アプリを開いてQRコードを読み取れば、決済完了、飲み物が出てくる。

この自動販売機なら、現金の盗難を心配する必要は一切ない。

しかし一方で、このQRコードを使った便利すぎる決済サービスは、新たな問題も生み出している。

 

QRを読み取り、お金を一瞬で奪われる

このQRコードは、お金をあげるにも、払うのにも使える。

それを悪用して、詐欺師は「お金をあげるから、QRコードを読み取って」という。

言われるがままにQRコードを読み取ってしまうと、一瞬で自分のお金がなくなってしまっている。

また、SNSで友達に連絡先を追加するにも、このQRコードを使うことが出来るのだが、

「QRコードを見せるから、友達に加えてくれ」と言われ、スマホで読み取ると、現金が奪われていた、という事件も中国では発生している。

いずれにしても、便利な社会が到来した一方で起きてしまった事件であり、セキュリティを強化するなど、早急な対策が必要である。

キャッシュレス化において後進国である日本は、このような問題点を迂回しつつ、更に便利でスマートなキャッシュレス社会を目指せば良い。

日本は、他国の良いところを吸収して、自国風にアレンジするのがうまいのだから。

ぜひコメントをお願いします!

ABOUTこの記事をかいた人

上海を中心に、中国関連の気になる出来事を発信しています。時々関係ないことも書きます。学生時代に上海留学。現在は日本で会社員生活。いつか中国で書きたい。91年生まれ。