「夢十一夜」

第十一夜

こんな夢を見た。

夏の日のある夜、大学の同級生である「彼女」が、突然消えた。

それはまるで、神隠しのようだった。

彼女はさよならも残さず、行ってきますなど当然言わなかった。

私はその一点についてひどく憤慨し、探すものかと知らぬふりを決め込んだ。

しかしそのうちに不安になって、あちこちと彼女の痕跡を探して歩いた。

「それ」はそこかしこに落ちている。

飲みかけのコーヒー、小説に挟まれた栞、線香の燃えたあとの灰。

彼女の名を呼んでみるが、私の声は飛び出した瞬間から勢いを失って、床に向かって落ちていく。

なんだか変だなと思いながら疲れたのでやめる。

答えのない世界を歩く

答えが出ないことに答えを出そうとしても意味がない。

何処にいるのかもわからない人を探して歩くうちに、こんなことを考えた。

人はものごとを生み出すとき、そのモノの完成した形など想像できるだろうか。

物事の完成形は、出来上がったと作者が決めたその瞬間に決まるのだ。

彼女を探すこの行程は、いつ開けるのかも分からない夜の中をはって歩くようなものだ。

思えば人は、答えを探してばかりいる。

答えなど決してないと知っていたならば、ずいぶん楽になるだろう。

そんなことを考えているうちに、小説というものが理解できた気がした。

私が生きているのは、昼の世界?夜の世界?

突然目の前が明るくなった気がして、目が覚める。

目の前には、真っ白なベッドの上に横たえられた私の身体と、その周りで私の顔を覗き込む人々。

それでようやく分かった。彼女はずっと私のそばにいたのだ。

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上海を中心に、中国関連の気になる出来事を発信しています。時々関係ないことも書きます。学生時代に上海留学。現在は日本で会社員生活。いつか中国で書きたい。91年生まれ。